CAP(Child Assault Prevention)とは?

 CAPとは「Child Assault Prevention 子どもへの暴力防止」の略称
 表記です。

 1978年にアメリカ・オハイオ州で起こった小学校2年生の子どもへの
 レイプ事件をきっかけに、レイプ救助センターのシェルターから
 誕生しました。

 CAPプログラムは現在、世界各国で実施され、もっとも信頼のおける
 暴力防止プログラムの一つという評価を受けています。

 日本でも1995年にCAPプログラムを実践するスペシャリストの
 養成講座が開催されて以来、全国各地で実施されるようになりました。

 子どもが暴力の被害者になったり加害者になったりする事件が
 頻発しています。
 暴力を「人の心とからだを傷つける力」ととらえ、
 子どもを被害者にも加害者にも傍観者にもさせないこと、
 子ども自身の力で暴力に立ち向かうことができるよう援助すること
 それがCAPの立場です。



 

 

CAPプログラムって?  <3つアプロ―チ>

 CAPプログラムは、単なる暴力防止のノウハウでなく、
 子どもたちが本来持っている可能性や力を信じ、引き出すことで、
 子ども自身が自分への信頼や自信を形成したり、取り戻すことを
 目標にしています。

 プログラムは、「おとなワークショップ(教職員対象)」「おとなワーク
 ショップ(保護者対象)」「子どもワークショップ」の3つのワークショップ
 で成り立っています。

 子どもワークショップの直後におこなわれるトークタイム(ワークショップ
 の振り返りの時間)を含むこれらすべてが実施されてはじめて、
 CAP本来の効果をあげることができます。

 

 

おとなワークショップ

 親や教職員・地域のおとななどの子どもを支える立場にある人々が、
 子どもの人権を尊重し、子どもの暴力について正しい知識を持つことは、
 子どもへの暴力防止にとってとても大切なことです。

 暴力に対する正しい理解を得て、暴力の誘因となる子どもの孤立の況を
 減らすために子ども同士が助け合い、おとなが子どもサポートするような
 コミュニティ(地域)が作れるよう、おとなたちに働きかけます。

 また、子どもが暴力について語ることができるように
 おとなが子どもの話に共感しながらしっかりと聴くことが大切です。
 そのための具体的な方法を提案していきます。

 子どもが「安心」して「自信」をもって「自由」に行動することができる
 ように、おとなに何ができるかを考えるのがおとなワークショップです。

                          (所要時間 約2時間)



 

 

子どもワークショップ

 子どもワークショップは発達理論をベースにつくられています。
 発達段階別の集団を対象に、伝え方を考慮しながら
 子どもにとって普段あまり聞いたり話したりすることのない暴力について
 恐れを抱かず楽しみながら参加できるように工夫されています。

 子どもたちはみんな

 安心して生きる権利
 自信を持って生きる権利
 自由に生きる権利

 をもっていることを伝え、この権利が奪われそうになった時、

 NO(イヤということ)
 GO(離れる、逃げること)
 TELL(誰かに相談したり助けを求めること)

 という選択肢があることを、ロールプレイを(役割劇)を通して
 子どもたちと一緒に考えていきます。

■ CAP就学前プログラム


 3歳から6歳までの子どもたちが対象です。
 小学生プログラムを基本に、年齢に適した配慮がなされています。

 絵や歌、人形などを使い「けんり」「あんしん」「じしん」「じゆう」と
 いった言葉の概念を理解しやすい工夫や、虐待や暴力というテーマを
 怖がらないで楽しく学び、子どもたちが漠然と抱いている不安を
 軽減するための工夫が取り入れられています。

 ワークショップは、2〜3人のスタッフにより進めます。
 子どもの数は、15人前後です。


  1日目

   子どものけんり
    安心・自信・自由

   いじめ(子ども同士の暴力)
    ・ロールプレイ 
    ・子どもができること
    ・「いや」という練習


トークタイム


  2日目

   誘拐
    (知らない人からの暴力)

    「人形劇」
    ・安全な距離
    ・護身術
    ・特別な叫び声の練習


トークタイム


  3日目

   性暴力
    (知っている人からの暴力)

    ・嫌な触り方
    ・子どもができること

   先生ロールプレイ
    ・先生に話す


トークタイム

                 所要時間 (1日20分+トークタイム×3日)





■ CAP小学生プログラム


 ワークショップは3人のスタッフが行い、1人が進行役、
 他の2人がロールプレイ(役割劇)を演じます。

 子どもの数は、1クラス単位(40人以下)で実施します。

 プログラムは、子どもたちとの話し合いの部分とロールプレイの
 部分に分かれ、まず、権利を奪われる場面をロールプレイで演じ、
 その後、子どもたちと意見を交わしながら、解決方法を考えます。

   子どものけんり
     安心・自信・自由

         

   ロールプレイと話し合い
    ・いじめ
     (子ども同士の暴力)
    ・誘拐
     (知らない人からの暴力)
    ・性暴力
     (知っている人からの暴力)

         

   先生ロールプレイ
    ・信頼できるおとなに相談する

         
   トークタイム

                 所要時間 (約60分+トークタイム)





■ 中学生暴力防止プログラム


 中学生暴力防止プログラムは、日本におけるティーン向けのCAP
 プログラムとしてN/ICAP(New Jersey,USA)の承認を得て、
 森田ゆりをはじめ、CAPスペシャリストが開発したプログラムです。

 日本の中高生の状況を考慮し、子どもたちと一緒に考えながら、
 自由な意見や気持ちの発言をとり入れて進めていくプログラムです。

 ワークショップの中で、自分の気持ちを人に伝える、人の気持ちを聴く
 という練習もします。

 ワークショップは1クラス単位で3人のスタッフが行い、1人が進行役を、
 他の2人がモノローグ(一人語り)やロールプレイ(役割劇)で、
 役を演じます。


  1日目

   暴力とは何か

   人権について(安心・自信・自由)

   性暴力(知らない人からの暴力)
    ・男子がバスで痴漢にあう
    ・護身術
    ・特別な叫び声

   いじめ(子ども同士の暴力)
    ・気持ちを聴く、話す


トークタイム


  2日目

   体罰(親子関係)
    ・ジェンダーの偏見
    ・アクティビティー
    ・信頼できる人に相談

   性暴力(知っている人からの暴力)
    ・友だちからの圧力
     (ピアプレッシャー)

    ※中学3年生はデートレイプに
     換えることができます。


トークタイム

                 所要時間 (100分+トークタイム)×2日





■ 障がいのある子ども向けプログラム


 障がいのある子どもには、その一人ひとりのニーズに合わせ
 CAPプログラムに工夫を加えて提供します。

 通常のCAPプログラムより時間や回数が必要です。
 一貫した内容で、繰り返し継続して伝えることが効果的です。

 知的障がいのある子ども向けに、スペシャルニーズプログラムが
 あります。

 このプログラムは、先生が実施する2日間(予習日、復習日)と
 CAPが提供する3日間を合わせて5日間で構成されています。

 ワークショップは、3人のスタッフにより進めます。
 子どもの数は、10人程度が理想的です。


  先生による予習

  ・CAPで使う言葉を知ってもらう
  ・安心、自信、自由の言葉とイメージ




  1日目

  導 入(文字カード・絵カード・ジェスチヤー)
   ・子どものけんり

  ロールプレイ(いじめ)
   ・子どもができること

   <キーワード>
    いや
    友だち
    話す



  2日目

  導 入(文字カード・絵カード・ジェスチヤー)
   ・子どものけんり

  ロールプレイ(誘拐)
   ・子どもができること

   <キーワード>
    知らない人
    うそ、ける、ふむ
    にげる
    特別な叫び声



  3日目

  導 入(文字カード・絵カード・ジェスチヤー)
   ・子どものけんり

  ロールプレイ(性暴力)
   ・子どもができること

   <キーワード>
    自分の体は自分のもの
    安心な触り方
    いやな触り方
    安心な秘密
    安心できない秘密

         

 トークタイム



  先生による復習

  ・CAPで使った言葉の確認
  ・3日間で覚えたことの復習



                     所要時間 (1日30〜40分×3日)



 

 

■ トークタイムとは?

 ワークショップの終了後に、CAPスタッフと子どもが個別に、ワーク
 ショップの振り返りをする時間です。

 子どもの話をしっかり聴き、子どもの持つ問題解決力が発揮できるように
 支援しています。


 <トークタイムの効果>

 ・ワークショップの中で習ったことを復習することで、実際に使える
  ようになります。

 ・子どもはただ聴いてもらうという体験を通して自分の気持ちに気づき
  CAPスタッフの助けを借りて問題解決の方法を見つけます。

 ・子どもは「あなたには安心、自信、自由の権利があるんだよ。」という
  メッセージを受け取ることによって、自分の大切さに気づき、状況を
  変えようと思います。

 ・子どもが今までに誰にも言えなかったことを口に出すことは、暴力や
  虐待を止めるきっかけになります。

 ・子どもは話を聞いてもらうことで、信頼できる人がいることを確認し、
  おとなを信頼し始めます。